フランスでは毎年、「美術切手」が発行されます。

今年はKATSUSHIKA HOKUSAIの『LA GRANDE VAGUE(大波)』が選ばれています。 正式名称は『神奈川沖浪裏』(かながわおきなみうら)です。
ゴッホやゴーギャンなど世界の名だたる巨匠を虜にした北斎の浮世絵版画です。

この絵がこんなにも強烈な印象をあたえる要因のひとつが、この青です。 それを強調するように今回のこの切手も縁取りに青を採用しています。
日本の1963年の文通切手と比べてみるとその効果のほどがわかります。

話しは『神奈川沖浪裏』の作品が生まれた1831年から遡ること約200年。1665年のオランダです。



かの『真珠の耳飾りの少女』がフェルメールによって描かれました。

この作品の魅力もその妖艶な表情や真珠をひきたてる、ターバンの青です。
この切手ではいまひとつその鮮明な青が再現されていないのが残念ですが、ほんとうはずっと艶やかな青です。

この時代、この青を使うのは貧乏な画家には無理なことでした。というのもこの青の顔料(ウルトラマリンブルー)は宝石「ラピスラズリ」から作られたものだったからです。当時は純金とかわらない価格で取引された顔料。フェルメールを支えたパトロンの援助がなければ今日、私たちはこの絵画を観ることができなかったでしょう。

18世紀初頭、この状況に革命が起こります。

ベルリンの顔料職人が偶然に、鉄を原料として素晴らしい青色顔料が造れることを発見したのです。のちにこの顔料は「プロシア青(プルシアンブルー)」の名で呼ばれることになりました。 安価な上に、ウルトラマリンブルーと違い、粒子が細かく水に溶けやすかったこと、これが大ヒットの勝因でした。

鎖国中であった日本でも、長崎の出島で取引され、浮世絵師の心をつかみました。日本では「ベルリンの藍」 → 「ベロ藍」と呼ばれていたようです。
時代に敏感だったのしょう。北斎も早速「ベロ藍」をふんだんに使い、傑作『神奈川沖浪裏』を世に送りだしたのです。

時代を超えた青の二大競演、あるいは東西対決のお話でした。


フランス 2015年美術切手・葛飾北斎
オランダ2014年フェルメール画「真珠の耳飾りの少女」


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